【マンション管理組合】理事長の役割と任期を詳しく解説

マンション管理組合の理事会には「理事長」という重要な役職があります。

理事長は組合員の代表としてマンション管理を行い、さまざまな業務を遂行する責任があります。

本記事ではマンション管理組合の理事長の役割と任期、そのほかよくある質問について詳しく解説します。

今まさに理事長に選ばれてしまった方やこれから選ばれる可能性のある方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 管理組合の組織図
  • 管理組合における理事長の役割
  • 理事長の任期や選任方法
図解つきで解説します!
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マンション管理組合における”理事長”のポジション

マンション管理組合における”理事長”のポジション
マンション博士

理事長はその役職名の通り、マンション管理組合のリーダーです!

【マンション管理組合】理事長の主な役割・業務内容

【マンション管理組合】理事長の主な役割・業務内容
主な役員業務内容
理事長・管理組合を代表し、すべての業務を統括する
副理事長・理事長を補佐、理事長不在時には職務を代理。
会計担当理事・管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。
監事・管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査。
・監査結果を総会に報告

管理組合の理事長は、管理組合のリーダーとして組合員(居住者)の信頼関係築きながらマンション運営を統括します。

国土交通省「マンション標準管理規約」より、理事長の役割をピックアップしてご紹介いたします。

総会・理事会の招集

理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。

理事長の重要な業務として、総会や理事会の招集があります。理事会の実施は管理規約によって定められ、各マンションごとに実施回数は異なります。(月1~3カ月に一度程度)

通常総会は必ず毎年1回実施する必要があります。これらの招集を行いイニシアチブをもって議会を取り仕切る必要があります。

ちなみに臨時総会の招集ができるのは「理事長」だけです。そのほかの方が招集する場合は組合員総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上の組合員の同意が必要になります。

専有部分の修繕の意思決定

理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。

居住者(組合員)が、模様替えや修繕を行う際に共用部分や専有部分に影響を与えるものがあった場合、理事長に申請をする必要があります。

理事長は、修繕や模様替えについて実施可否を判断する必要があります。

理事長の勧告及び指示等

理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。

マンションは集合住宅のため、ほかの住人にも配慮して生活をする必要があります。

しかし中には共用部を汚したり、騒音で迷惑をかける住人もいます。

理事長はこうした居住者に対して、是正勧告を行う必要があります。

マンション博士

状況に応じて話し合いをしながら、問題解決に取り組みます。

収支予算の作成及び変更

理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない。

居住者から預かっている管理費や修繕積立金をどのように運用するのか考えて、通常総会にて承認を得る必要があります。例えば、エレベーターの点検・保守代、給水設備点検や駐車場・駐輪場の使用料、保険の支払いなど。

会計報告

理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。

理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。

1年ごとにマンション管理に携わる会計報告をする必要があります。また万が一未納している居住者がいた場合は請求をしたり法的な措置をとることが可能です。

議事録を保管

理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。

理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。

理事会や総会で話し合われた内容は、議事録として保管する必要があります。また利害関係者には議事録を閲覧させる必要があり、議事録の保管場所は掲示しておく必要があります。

マンション博士

自主管理マンションの運営がしっかりと行われているかどうかをチェックするために、マンション購入希望者が議事録を見たいというケースもあります。

帳票類等の作成、保管

理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

マンション管理を行う中で必要な書類はたくさんあります。例えば会計の帳簿や修繕履歴など。こうした帳票類は電子もしくは書類にて保管し、必要に応じて利害関係者に閲覧させる必要があります。

規約原本等

理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び使用細則等の保管場所を掲示しなければならない。

各マンションには管理規約が存在します。これらをしっかりと管理することも理事長の役割です。

損害保険

理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。

共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することがあります。

損害保険の支払いや保険金の受取を理事長は区分所有者に代わって代理することができます。

マンション博士

上記はごく一部です。管理組合の理事長は非常に責任のある立場で、多くの権限があることがわかりますね。

【管理組合】理事長の任期は1年~2年程度が一般的

理事長の任期は1年~2年程度が一般的

理事の任期は法律的な決まりなく、各マンションの管理規約によって定められています。

国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理組合の理事長の任期は1年から2年程度となっています。

役員の任期割合
1年57.0%
2年36.7%
3年以上1.3%
特に定めはない4.4%
不明0.5

管理組合の理事は、毎年の総会で改選されることが一般的です。

※まれに理事会メンバーが辞任した場合や不祥事があった場合など、臨時総会が開かれ理事会の構成が急遽変更されることもあります。

理事長はどのようにして選任される?

理事長は以下の流れに沿って選任されます。

※前提:各分譲マンションは区分所有者全員が組合員となり管理組合を作る必要がある。

  1. 組合の中から理事(役員)を選任
  2. 理事会の中から理事長を選任
マンション博士

マンションごとに異なりますが、理事(役員)の人選は「推薦」「互選」「順番制」などによって決定します。

【管理組合】理事長に関するよくある質問

マンション管理組合の理事長は業務の対価としてお金をもらえるのですか?

一般的に管理組合の理事長は、ボランティア的な立場で業務を行います。つまり給与や報酬を得ることはありません。

しかしマンションによっては、理事長が業務に多くの時間や労力を費やし、その対価として一定の報酬を支払うことがある場合があります。理事長が報酬を受け取る場合でも、その額は一般的には高額ではなく、あくまでも費用の補填や労力の補償程度にとどまる場合がほとんどです。

※報酬の支払いは、管理組合の規約や法令に従って手続きをする必要があります。

管理組合の理事長は任期の途中で解任されることがありますか?

管理組合の理事長は、任期途中で解任されることがあります。理事会の決議によって解任される場合や、総会での議決によって解任される場合があります。

解任は理事会もしくは組合員全員参加の総会によって決定します。

総会で解任が決定された場合、新しい理事長が選出されるまでの間は、理事会が暫定的な代理人を指名することができます。

管理組合の理事長を自分から途中でやめることができますか?

マンション管理組合の理事長は、任期途中で辞任することができます。ただし辞任する場合には、管理規約に沿った手続きを踏む必要があります。

辞任する際には、「辞任の意向」を理事会や総会に通知する必要があります。理事会や総会は、理事長の辞任について話し合い、代替の理事長を選出する必要があります。

※理事長が辞任した場合、副理事長が新しい理事長に就任することがあります。

まとめ

  • マンションの理事長は重責を担う
  • 理事長の業務範囲は多岐にわたる
  • 理事長の任期は1年から2年程度
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