自主管理マンションが売れないと言われる理由は?売るために管理組合が準備する必要書類を解説

「自主管理マンションは売れない」と言われますが、しっかりとした管理体制や必要な書類を提出できる状況が整っていれば売却可能です。

本記事を読むことで自主管理マンションを売却するポイントや必要な書類・管理体制が理解できます。

ぜひ、自主管理マンションを売却する際に役立ててください。

この記事でわかること
  • 自主管理マンションが売れないと言われる理由
  • マンション売却に必要な書類
  • 売却に必要な管理体制
図解つきで解説します!
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自主管理マンションが売れないと言われる理由

自主管理マンションが売れないと言われる理由

自主管理マンションが売れないと言われる理由は「管理が行き届いていない印象がある」「住宅ローンが組みづらい」という2点が挙げられます。

管理が行き届いていない印象がある

国土交通省のガイドライン「標準管理規約」には、マンション管理組合の業務には15項目が定義されてます。

自主管理マンションは居住者で維持管理しなければならないため、管理委託に比べて管理が不十分な印象を持たれがちです。

  • 管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
  • 組合管理部分の修繕
  • 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
  • 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
  • 適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
  • 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
  • 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
  • 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
  • 敷地及び共用部分等の変更及び運営
  • 修繕積立金の運用
  • 官公署、町内会等との渉外業務
  • マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
  • 広報及び連絡業務
  • 管理組合の消滅時における残余財産の清算
  • その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務
マンション標準管理規約(単棟型)第2節 管理組合の業務|国土交通省

維持管理不足は将来的なマンションの資産価値を低減させる懸念があり、買い手は購入を控えてしまいます。

また「実際の管理状態は入居してみなければわからない。」というのは購入者心理にも大きな影響を与えます。

自主管理,管理が行き届いていない印象がある

高い買い物だから入居してから後悔したくないですしね・・

マンション博士

「マンションは管理を買え」と言われるくらいですから、管理体制に不安があるマンションは検討を見送られてしまいます。

住宅ローンが組みにくい(ローンの審査が通らない)

自主管理マンションは以下の理由から住宅ローンが組みにくいと言われています。

先述した通り、自主管理マンションは管理体制に不安を持たれるケースが少なくありません。

自主管理マンションの場合、長期的にマンションの資産価値を維持できない可能性があると判断され、金融機関は住宅ローンの融資を避ける傾向にあります。

管理組合がしっかりと機能しており、清掃・メンテナンス、長期修繕や大規模修繕など、問題なく管理できているいうマンションもありますが、金融機関としては実態を正確に掴むことは難しいため住宅ローンが通りにくいとされています。

高経年マンションであることも一因(築年数が古い)

また自主管理マンションは、まだ管理を委託するという概念がなかった昭和40年代~昭和後半に建築された、いわゆる高経年マンションに多く見られています。

築年数が古い物件はマンションに限らず一戸建て住宅やオフィスビルなどでも担保評価が出にくいため、住宅ローンが組みにくいものです。

マンション博士

ローンの審査が通らないのであれば、買う人も少なくなって、結果売れにくくなりますね。

しっかりと管理されている自主管理マンションは売却可能

しっかりと管理されている自主管理マンションは売却可能

自主管理マンションが売れにくい理由を解説しましたが、しっかりと管理されている自主管理マンションならばスムーズに売却可能です。

「しっかりと管理されているマンション」というのは、管理組合があり、適切な維持・管理がされ、報告書などが作成されているマンションです。

「自主管理マンション」という印象だけで判断されているのならば、しっかりと管理されていることを示す必要があります。

そのために必要な書類が以下の3点です。

  1. 管理規約
  2. 長期修繕計画
  3. 重要事項調査報告書

厳密に言うとそのほかにも必要書類がありますが、少なくとも上記がしっかりと整備されて、作成できるマンションは管理の不安が少ないです。

マンション博士

自主管理マンションだとしても管理体制や管理規約が明示できれば、住宅ローンが組みやすく、買い手も検討しやすいマンションだと言えます!

【もっと詳しく】自主管理マンションの売却に必要な書類とは?

自主管理マンションの売却に必要な書類とは?

マンション管理がしっかりしていることを証明するための書類は、マンション売却に必要な書類でもあります。

それぞれがどのような意味合いを持っている書類なのか解説します。

管理規約ならびに使用細則

管理規約ならびに使用細則は、いわばマンションのルールブックです。

どのように管理組合が形成され、管理され、使用し、どうやって管理費や修繕費を徴収するかなどを定めています。

これらの書類は、マンションの分譲会社が定め、マンション新築時に購入者に対して引き渡されていることが一般的です。

そして、当時の管理規約をそのまま使用している管理組合は少なくありません。

分譲時には管理会社が付いていて、やがて自主管理に移行した分譲マンションでも管理規約がそのまま利用されているケースがほとんどです。

管理組合の運営は長期に渡るため、管理組合の決定により、途中で管理規約の変更も行われます。

管理規約があるだけでなく活用されていて、適宜更新されている管理規約がマンション売却時の必要書類のひとつです。

マンション博士

国土交通省のガイドラインである「マンション標準管理規約(単棟型)」は87Pにわたって管理規約が記載されています。

長期修繕計画

長期修繕計画とは、将来予想される修繕工事などを計画し、必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成されるものです。

10年から30年程度の期間を対象に、マンションの各箇所に関する塗装工事や防水工事、給排水管工事など各種の大規模修繕が予定され、長期修繕計画にまとめられています。

そして、大規模修繕の予定・時期だけでなく、その費用についての収支計画についても定めています。

費用は修繕積立金を取り崩して利用され、マンションによっては「駐車場収入の余剰金」が修繕積立金として算入されているのです。

長期修繕計画はマンション維持のために非常に重要な書類なので、管理規約にて長期修繕計画の作成を義務付けていることがほとんどです。

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※書類のキャプチャは第1編 長期修繕計画標準様式|国土交通省より

重要事項調査報告書

重要事項調査報告書には以下の項目が含まれています。

  • 管理費や修繕積立金の改定予定
  • 大規模修繕計画の見通し
  • 耐震診断の有無
  • 戸別の管理費・修繕積立金の収納状況
  • マンションの借り入れ、収支報告、積立金の残高

その他にも物件情報が細かく記載されています。

本書類に記載がある内容はきちんとマンションが管理されていなければ分からない内容なので、重要事項調査報告書が発行されるマンションは管理もしっかりしています。

マンション博士

管理体制の良し悪しを判断するデータにもなり、マンション売買における重要な書類のひとつです。

自主管理マンション売却に必要な管理体制

自主管理マンション売却に必要な管理体制

自主管理マンション売却のためには、管理体制が整っている必要があります。

自分で管理するということは、何も自分で掃除しなければならない、ということではありません。外注に頼って管理することも自主管理の方法のひとつです。自主管理マンション売却に必要な管理体制について解説します。

管理組合がある

自主管理マンションを売却するために必要な管理体制のうち、もっとも重要なことが「管理組合」があることです。

管理組合自体はマンションの区分所有者が組合員になり、加入することが法律で義務付けられているので、どのマンションにも管理組合があります。

正確に言うと「機能している」管理組合が必要。ということです。

定期的に集会や意思確認して、適切な維持管理を目指すために管理組合として意思決定できている自主管理マンションならば、売却に支障は出ないでしょう。

マンション博士

自主管理マンションの良し悪しは管理組合による”と言っても過言ではありません!

会計管理がされている

管理費や修繕積立金の会計管理されているマンションならば、自主管理マンションでもスムーズな売却が可能です。

しばしば、管理費の値上げや修繕積立金の値上げが問題になりますが、それは管理委託しているマンションでも変わらず、自主管理マンションだけの問題ではありません。

むしろ管理費が一般的なマンションより安いので、修繕積立金の値上げがしやすいとも言えるでしょう。

管理組合の口座を利用して、しっかりと修繕積立金が積み立てられ、必要なタイミングで使用されている自主管理マンションならば問題ありません。

マンション博士

不透明な会計処理や使途不明金があるマンションはなかなか売れにくいでしょうね・・

書類が整っている

管理規約や長期修繕計画が存在して適宜更新され、重要事項調査報告書が発行できる自主管理マンションならば売却に際する問題はありません。

特に重要事項調査報告書はしっかりと管理されていなければ発行できない書類です。

書類発行のためには手間がかかるものですが、ひな形を作成し管理組合の会計担当者と相談しつつ、状況を記載すればそこまで作成が難しい書類ではありません。

買い手や金融機関がマンションの管理体制や状況を判断するには書類が重要です。自主管理マンションを売却するためにしっかりと書類を整えましょう。

自主管理マンションを保有しており、これから売却予定の方

売れにくいと聞くと心配になるな・・

自主管理マンションは年間 9,138が流通しており、先述した通りしっかりと準備をすることでスムーズに売却することができます。(2022年1月~12月データ)

マンション博士

各都道府県別に年間の流通数を公開しておりますので、下記の記事を見ると安心していただけると思います!

まとめ

  • 売れない理由①管理体制が整っていないイメージがある
  • 売れない理由②住宅ローン審査が通りにくい
  • 自主管理マンションでもしっかりと管理されていることが重要
  • 管理規約・長期修繕計画・重要調査報告書は売る際に必須
  • 管理組合や会計もしっかりと準備しておくことが重要

最後までご覧いただきありがとうございます。

この記事の結論として、自主管理マンションは売却しづらいかもしれませんが、管理体制が整っていればスムーズな売却が可能です。

しっかりと管理組合があること、管理体制が整っていることが条件なので、自主管理マンションゆえに売却できないと考える必要はありません。

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